天使のいない12月 REVIEW
製品データ
タイトル 天使のいない12月
ブランド Leaf
ジャンル アドベンチャー
メディア CD-ROM2枚組
定価 \9,240
発売日 2003/09/26
プレイ時間 初回:3〜4時間 2周目以降:2〜3時間
初プレイ:2004.02.17
再プレイ:2007.12.09
評価
ストーリー 100
グラフィック 97
音楽 88
総合 100
コメント
ストーリー
あらすじを 見る/ 見ない

不器用な男女たちの生き方を描いた作品。

あらすじやキャラ紹介を見て分かる通り登場人物はどこかしら壊れてる奴ばかり。
その意味では現実的ではないが、描かれているのは彼らの必死な生き方。
大人の得意技である上辺のやり取りなどは微塵もなく、登場人物たちはむき出しの心で触れ合う。
結果当然のように傷つき傷つけあい、誰が見てもハッピーな解決策が見つかるわけでもなく、それでも生き続ける…
そんな話。
身体を重ねるという行為や心に触れることに対する考え方など、他の作品では触れられることの少ないものがこの作品では描かれている。

日常イベントは非常に少なく、ヒロインに萌え要素はなく、妹は主人公を罵ってくる存在、etc
このように萌えゲとは全く逆の作品。
設定のみならず扱っているテーマや方向性も全く逆。
主人公はかなりスれてるし、ヒロインは壊れ気味の上に隠語連発、ハッピーエンドなし、etc
といった特徴を持つため萌えゲを好む人にとってはかなり辛い作品となりそう。

主人公を含め登場人物は壊れた連中ばかり。
ここまで壊れた設定にしたのは、やはり扱うテーマの重さを重視するためだったのだと思う。
このような設定をどう感じるか、どう受け取るかが評価の分かれ目だと言える。
登場人物の行動原理に微塵も感情移入出来なければ地雷になるだろう。
彼らの価値観をバッサリ切り捨てる人にとっても地雷になるだろう。

インパクトの強い展開に込められたメッセージはとても深く、考察が好きな人などにはたまらないと思う。
他の作品ではなかなか見られないテーマであり、また18禁シーンの使い方が上手い。
これ抜きでは物語は成立しない。
本当の意味での18禁作品だと言える。
愛を確かめ合う初々しいえちを楽しみたい人は絶対回避推奨。

心を求めることはとても辛いことであり、他人の心に関わるということは大変なことでもある。
生きることは他人と関わることであり、他人と関わる以上心が触れ合うのは避けられない。
心に触れることは傷つけ傷つけられることである。
それはとても辛いし苦しいけど、人間はやはり一人では生きられないから温もりを求めようとする。
そうして傷つきながらも必死に道を模索して生きる。
他人の心と向き合うことはこんなにも大変なことなんだ、と切に感じた。
グラフィック
イベントCGは差分含めて全部で100枚ほど。

なかむらたけしさん&みつみ美里さんの絵は群を抜いている感がある。
微妙に憂いを帯びた表情や、ぞっとするような笑顔など細かな感情を表した表情を上手く描けている。
須磨寺の持つ危うい雰囲気、明日菜さんの本当の表情など…
そして等身や顔のパーツなどのバランスがとても良い。リアルな人間像。

背景は陰影の描き方、光の処理が秀逸。
これも淡さ、儚さがしっかりと込められている。
夕陽が差し込む場面が印象的。
須磨寺と屋上で並ぶ」が最高だった。
音楽
ボーカル2曲を含め全部で24曲。
ギターやピアノなど、使われている楽器は別段珍しいものではないがやはり儚げな感じが込められている。
個人的にギター大好きなので全体的に好印象。
雰囲気とマッチした妙曲が多い。

ボーカルはOP・EDに1曲ずつ。シナリオとのリンク度が高すぎて死ねる。
ギターの演奏や波の音など細部まで作りこまれており非常に印象的。

主人公以外フルボイス。有名どころを使っているとは言え演技力高すぎ。
唯一の問題点は主人公の名前は台詞に出ないというところくらいか。
システム
セーブ可能箇所に問題はなし。スキップも既読・未読区別あり。
バックログでボイスどころかCGまで再現される作品はそうはないと思う。
基本的なものは全て揃っている。動作上困る部分は一切無かった。

エンディングを迎えるたびにタイトル画面が変化。
こういう演出は嬉しい。
総評
何の取り得のない主人公が複数のヒロインに好かれてあっという間に結ばれてハッピーエンド…
そんな定型的な作品とは一線を画した作品。
男女付き合いを含めた人間関係が薄っぺらな現代人には是非ともプレイして欲しいと思う。
特に若い世代。心や身体を求めることの意味をしっかり考えて欲しい年代にプレイして欲しい。
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