TAIHAism -タイハイズム- REVIEW
製品データ
タイトル TAIHAism -タイハイズム-
ブランド Giant Ant Unit
ジャンル ギャルゲー(全年齢)
メディア CD-ROM1枚組
定価 \1,890
発売日 2008/08/16
プレイ時間 全ルートクリアまで25〜30時間
コメント編集日:2010.03.15
評価
ストーリー 85
グラフィック 87
音楽 80
総合 85
コメント
ストーリー
あらすじを 見る/ 見ない

通学途中にヒロインの一人と曲がり角でぶつかる。
あまりのベタさにもはや使われていないであろう展開から始まるこの作品。
良くある設定やイベント、流れを多用しつつ、ところどころにこの作品の独特さがある。
ネタバレになるので詳細は書けないし書かない。
細かいことはフルコンプリート後にここを読んで唸って欲しい。

あらすじから分かる世界観は他の作品にはない独特なものだが、出て来るヒロインは「パッと見」ありがちなキャラが多い。
起こるイベントも割と普通の、ドタバタしたコメディ中心で軽い気持ちで読める。
上記リンクに記載がある通り、地の文が少なめなのでとてもテンポが良い。
人によっては描写が少ないと感じるかもしれない。

と、序盤中盤は「ちょっと変わった、でもそこまでぶっ飛んではいない作品」レベルの認識で進む。
しかし個別ルートの終盤や最後のタイハイズム編などは「らしさ」がもの凄く前面に出ている。
アンチテーゼとは良く言ったものだ。
なんだかんだありつつも最後は主人公とハッピーエンド、これからも幸せに暮らしました、そんなチープなエンドは無い。
人間らしさをロクに感じない、ありきたりなギャルゲーのヒロインたちへのアンチテーゼを感じる展開だった。

全てクリアした後に上記リンクの内容を読むとさらに評価が上がる。
例えば、プレイ中に些細ないくつかの設定(例えばテレポーター)が出て来るのだが、「アンチテーゼ」であることを念頭に置いた上でプレイしていると
「この設定にはどういう意味があるのだろう?」
と考える場面が沢山出て来る。それは恐らく制作サイドの狙いの一つなのだろう。

そうやって自分なりに色々と解釈した後で上記リンクを読むと、「なるほど」の連続である。
普通のギャルゲーでは特に何の疑問も持たずにスルーしてきた流れや設定など、様々なものへのアンチテーゼが込められていることに気づく。
「死」に対する考え方は実に興味深かった。


壮大なシナリオが、とか感動的なシナリオが、とかそういう作品ではない。
「アンチテーゼ」という立ち位置を最後まで貫き通し、製作者の意図が強く伝わってくる秀逸な作品だと思う。
同人作品は、作り手が何を思ってその作品を作ったかがとても大事だと個人的には思っているので、その意味ではこの作品は非常に優れている。

もっとも、「アンチテーゼ」と騙っている時点で万人受けする内容ではないし上述のようにシナリオ自体が群を抜いて、という作品でも無いので、 あらすじに書いてある通りアンチテーゼを感じられなければ、あるいは感じようと思わないのであればプレイはお勧め出来ない。
グラフィック
イベントCGは差分を含めて全部で80枚強。アニメのような塗り方。
原画は二人いるようで、キャラによって特徴に差があるがさほど気にならない。
等身や目の大きさ等は良くあるギャルゲーとは異なり、バランスが良く最低限のリアルさがある。

とにかく表情・ポーズ・立ち位置などの変化が大きい。大きさを変えることで遠近も表現しており、動きが非常に細かい。
視覚的な動きが多彩なので、日常シーンが文章を読むだけになっておらず飽きない。
細かい工夫が目立つのがいい感じ。

選択肢の見せ方が独特で、大きさや字体に主人公の気持ちの傾きが表れている。
背景も主人公の注意が向いている方の視野を意識したものとなっている。本当に細かいところまで凝っている。
音楽
音楽鑑賞モードで聞けるのは13曲、うちボーカル1曲。
シンプルで透明感のあるBGMが多い。衰退した世界観に合わせたのかもしれない。
BGMの自己主張は強めだがシナリオを上手く盛り上がてくれているし、曲単体としても質が高い。

EDにボーカルが1曲。
曲名・歌詞がこの作品を総括している。これまた透明感のある歌。
システム
バックログ:ホイール
スキップ:「読んだ文章を飛ばす」
セーブロード:日付、サムネイル表示
オートセーブ:無
クイックセーブ:無
オートモード:有(速度設定可能)

滑らかな動作と便利なコマンド付き。読んだ文章を自動スキップはとてもありがたい。
総評
全てクリアした後、最初に載せたリンク先を読んで正直愕然とした。
不自然な部分に何も疑問を感じることなくプレイしていた自分に。
当然と思っていた部分に目をつける着眼点と、尽くアンチテーゼを掲げ形にしたこの作品には恐れ入った。
途中で日和って微妙に路線変更、逆にあまりに突き抜けすぎ、そういう極端な形にならなかったのも良い点だと思う。
こういう作品があるから同人作品のプレイはやめられない。