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穏やかな風が吹き清廉な水が溢れ、実り豊かな彩華国。
この地は神の花――彩花の恵みによって護られている。
白・金・銀・翠・蒼・紫・赤・黒。
八色の恵みを湛えて、花は咲き誇り満ちていく。
一年に渡って咲き続ける彩花が、唯一散りゆく年の瀬のこと。
彩華国の長、黒氏の妹・葉月は年越しの『花宴』で、彩花に感謝を捧げる『花乙女』の任に抜擢される。
花を散らした彩花の恵みを宿す依代となり、年明けには感謝と共に花へと恵みを還す。
純粋なる乙女だけに許される巫女は、彩華国の少女にとっては憧れの的だった。
葉月も例外ではなく『花乙女』の大役に選ばれたことを誇り、嬉しく思っていた。
若くして国を支える黒氏であり、優しい兄でもある深影。
深影の親友であり、神職である色理師達を束ねる白氏の白。
明るく元気でいつでも側で見守っていてくれる従者の紗茶。
初めて降りた街で出会う、不器用な優しさを見せてくれた少年。笑顔が眩しい少女。
『花乙女』になって、世間知らずの箱入り娘だった葉月の世界は驚くほどに広がっていく。
しかし、希望の光に満ちていた彼女の前途に、闇が忍び寄る。
――国中の彩花が花をつけない。
必ず咲くはずの、永遠の恵みの花。
彩花が咲かないということは、彩華国から神の恵みが失われたことを意味していた。
黒氏深影は『花乙女』に勅命を下す。
――花を咲かせるために、色の恵みを持つ者を集めよ。
葉月は花を咲かせられなかった責任を負い、街へと降りる。
色の加護を強く受け、特異な力を持つ者達の協力を得て、再び花の恵みを取り戻すために。
咲かない花、恵みの失われた大地、不安に揺れる人々。裏で絡まり行くのは思惑の糸。
めくるめく運命の花は咲くのか、それとも散ってしまうのか――。
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「誓い」「想い」「願い」の三部作のうちの第一部。
和風ファンタスティックノベルの名に相応しい設定と色合いで、作品の雰囲気はとても良く出ている。
世界観を作る設定は多く序盤はやや説明が多いものの、設定そのものに破綻や矛盾は見られない。
世界観の完成度はなかなかのものと言える。
しかし登場人物の掘り下げはかなり浅く、物語自体に深さが無い。この作品最大の欠点と言える。
登場人物たちは各々「色能力」を持っている設定なのだがそもそもその設定自体の作り込みが浅い。
例えば、異能故の苦しみを受けたなどの台詞が作中に登場するがそれに関する過去の描写は全くない。
能力を使う際の描写もあっさりしたもの。
特に、今まで説得に苦労していたとされる紫織についての描写は絶対必要だと思うのだが、さらっと流されてしまっている。
本人の自己申告がちょろっとだけでは何ら説得力無し。
主人公である葉月の心情描写は多め。
だがその場その場で思ったことを並べているだけで、一人で色々なことを思案したり葛藤したり、といった場面が無い。
「私は分かっているようで何も分かっていなかったんだわ…」ばかりで成長なし。強い意志を感じる場面が欲しかった。
元々箱入り設定なので成長があるだろうと思っていたが見事に肩透かし。
キーパーソンである白氏と黒氏についての描写も少ない。
お陰でこの二人が何を考えているのか良く分からず、後半の展開は「?」の連続でプレイヤー置いてけぼり。
「誓い」についても冒頭部以外ほとんど触れられず、二人にとっては重いものなのだろうがその重さがこちらには伝わってこなかった。
テキストに癖は無く読みやすい。
シナリオに破綻している部分は無いが、上記のような致命的な欠点や序盤の全てが上手くいきすぎで展開見え見え、捻りの無さが目立つ。
ただこの作品は冒頭で述べたように三部作のプロローグに位置するものであるため、捻りや深さがないのは当然と言えるかもしれない。
起承転結の「起」の段階ではこれらの要素がなくても不思議ではない。
「承」以降にあたる二部・三部に期待したい。
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| グラフィック |
演出面の素晴らしさはこの作品最大の特徴であり長所。
立ち絵・イベントCG共に動きと変化が非常に多く、まるでアニメのよう。
目パチ口パクは無いもののそれ以外の動きに一切妥協が無い。
企業でも簡単にマネは出来ないレベルだと思う。
絵自体はやや顔のパーツのバランスが崩れていることがあり上手いかどうかと言われると少し微妙。
上述した演出面と和風を意識した淡い色合いで補っている格好。
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| 音楽 |
ボーカル1曲を含め全部で16曲。
和風というジャンル名に相応しい落ち着いた曲が多い。
穏やかでゆったりしている。
ボーカルはメロディ・歌詞・声全てにおいて作品にピッタリ。
美しい歌。
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| システム |
バックログ:有
スキップ:有
セーブロード:日付、サブタイトル、サムネイル表示
オートセーブ:無
クイックセーブ:無
オートモード:有(速度調節可)
パッチを当てないと途中でフリーズするバグあり。
他にもオートモード中突然フリーズしたり、タイトルには戻れるがゲームを終わらせるメニューが無かったり。
プレイするのに非常に困るわけではないがこれらが少し気になった。
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| 総評 |
演出面は企業レベルを遥かに凌駕しているがシナリオは少し物足りない。
悪い意味で少女漫画風味であり、負の要素があまりに少なく物語としてのバランスが悪いように感じた。
ただシナリオの部分でも書いたようにまだ「起」の段階なので評価するには早計。
今後の展開に期待したい。
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