こなたよりかなたまで REVIEW
製品データ
タイトル こなたよりかなたまで
(パッケージ新装版はこちら)
ブランド F&C【FC01】
ジャンル ノベル
メディア CD-ROM1枚
定価 \7,140
発売日 2003.12.12
プレイ時間 毎周2〜4時間
コメント編集日:2004.04.18
再プレイ:2007.10.18
評価
ストーリー 100
グラフィック 70
音楽 80
総合 100
コメント
ストーリー
あらすじを 見る/ 見ない

ある日突然身に降りかかった非日常。
それに合わせたかのように登場するクリス、九重ら非日常的要素。
そして元々あった日常。
それらの織り成す見事なコラボレーション。

主人公である彼方に対して感情移入が出来るかどうかが大きな評価の分かれ目。
彼方は良くいるエロゲの主人公とは異なりしっかりとした己を持っている。
様々なことに対する考え方。「実際にこんな奴いねーよ」と思ってしまうかもしれない。そう思ってしまうと一気に駄作。

ヒロインは皆立ち位置が異なるが実に上手く設定を活用できている。
最初プレイした時は「なぜ現実的な話にあえて非現実的な要素を取り入れたのか?」と思っていた。
自分なりの解釈だが、非日常要素を入れることで日常を引き立てようとしたのではないだろうか。
普段いる日常はありふれたものだけにそのありがたみが分かりづらい。
そこへ唐突に降りかかった非日常に加えてさらに非日常を付加することで、日常の素晴らしさを強調したかった・際立たせたかったのではないだろうか。 まああくまで持論。
何を描きたいかが先にあって後づけで設定を決めたのではないかな。

どのシナリオにおいても輝くのは主人公である彼方の生き方。
全てのヒロインは上述の通り立ち位置が異なるためシナリオの風味も当然異なる。
しかしどのルートでも彼方は己を貫き通す。
心を開いて弱さを曝け出しているように見えて一番大事なところは隠し通す。
辿りつく場所が悲しいところだとしても、決して負けない挫けない。達観していると思える部分も多々ある。

お涙頂戴的展開にしなかったのも非常に評価できるポイントだと思う。
上手く端折ったり婉曲的な表現をしたり(クリスNormal Endなど)しているのが素晴らしい。
プレイしてその設定を把握すれば誰しも予想できる流れを使わず、そこへ至るまでの過程で魅せてくれた作品。
優&いずみルートでは「未来ではなく過去を示す」といった斬新なやり口が見られ、各ルートに色をつけているなという印象を受けた。

チープなファンタジー要素は用いず、一人の人間の生き様に焦点を当てた稀有な作品だと言える。
彼方ほど弱くて強い主人公はいないだろう。
弱さがあるからこそ強さ、それに裏打ちされた言動には説得力・重みがある。
強さの裏には多くの葛藤、後悔。
何が正しいのかなんて分からない。それらが身に染みた。
墓まで持っていける超名作。
楽しめるかどうかは主人公に対してどう思うか。それに全てかかっている。
グラフィック
イベントCGは差分抜きで40枚弱。かなり少ない。
ボリュームを考えても少々物足りない。
立ち絵のバリエーションもやや少なくセリフと表情との乖離を感じる部分がいくつかあった。
ここでイベントCGが欲しい!と思う場面で無い、ということも何度か。
板橋先生や朝倉のおじいちゃんなどのサブキャラの立ち絵も欲しかった。
原画はしゃあ氏で絵自体は充分な上手さなだけに勿体無い。
音楽
ボーカル2曲を含め全部で15曲。
短い物語を引き立てるのに充分な質。
目立たないが言うなれば陰のMVP。

ボーカルはOPとEDに1曲ずつ。
OPの「Imaginary affair」EDの「こなたよりかなたまで」いずれも名曲。
プレイ後に歌詞を良く聞けばさらに涙がこみ上げてくるだろう。

ボイスは主人公以外フルボイス。
ヒロインたちの演技は◎。萌え萌えしてない声で何より。佐倉の声・演技には死ねた。
でも板橋先生の声は使いまわしすぎじゃないかと思うw
システム
ホイールアップでバックログ。ボイスリピートなし。
セーブロードはサブタイトルとLATEST表示あり。
スキップは既読判定あり、右クリックからメニュー呼び出しで選択する必要あり。
オートモードなし。
キャラごとにセリフの色が違うのは地味に良いシステム。
総評
人によって大きく評価が割れると思うので客観的に点数をつけると75点くらいだろう。
しかし俺がこの作品から得たものは計り知れないので主観丸出しで100点。
どのシナリオでも文句なし。泣きまくった。
「ありたいようにあるのは本当に難しい」
当たり前のことを再認識、痛感させてくれた作品。
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