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冬、寂れた街。
総人は半年前から、この街で過ごしていた。
雪は音を消し、白一色の世界に染める。
しかし杏との出会いが、忘れかけていた総人の記憶と重なった。
全てを失った、悲しい記憶と。
家では、母親代わりの真由美と、片手片足を失っている妹の麗奈が、総人の帰りを待っていた。
そして杏は、総人の姉として古館家をやってくる。
弱視という恐怖にも耐えながら、強く生きようと自分に言い聞かせている瑞穂。
重い病気を抱えながら、孤独と向き合って健気に生きようとする瑠璃。
悲しい過去と、切ない現実を持った人々。
物語は、ここから紡がれる。
命の儚さと、幸せの形―――
あなたは、感じたことがありますか?
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優しさ、強さ、弱さ、絆、家族…などについて考えさせられる作品。
物語は選択肢なしの6章構造。
各章によって視点が異なりメインに描かれるキャラも異なる。
この作品の最大の長所は強いメッセージ性。
各キャラは非常に重い設定を抱えており、各章でその詳細が明らかになる。
過去に重みがあるからこそ現在描かれている言動にも重みがあり、何でもない日常にも意味がある。
そして全体に込められているのは冒頭で述べたようなシンプルかつ大事なテーマたち。
彼女らの言動に胸を打たれた回数は数え切れない。
冬の街、病気、若い母親ということで「Kanon」を思い浮かべる人がいるかもしれない。
だがこの作品には「Kanon」のような奇跡は起こらない。現実100%。
本作は同人ならではの「容赦の無い」展開であり、それのお陰でテーマが引き立っているように感じた。
このように、シナリオだけ見れば90点オーバー間違いないがテキストで損をしている印象がある。
まず最初の章であるrainは冒頭部がやや冗長。
他の章に比べて日常パートのボリュームが多い。
ギャグの切れ味が今ひとつなためやや退屈で、しかもそれが結構長いのでちょっと辛いかもしれない。
こういうシナリオなのだから日常は普通の日常シーンを描いたほうが良かったのではないかと思う。
それくらい彼女らの重みが強調されていたし、そのお陰で掴んだ今の幸せがあると思えたので。
また、地の文・会話文共にややクセがある。特にキャラの想いを綴った部分に。
使っている単語は日常的だが言い回しが婉曲的だったり、無理やり韻を踏ませたりしているように感じた。
これの前にプレイした「そして明日の世界より――」は本作同様に「普通の日常の素晴らしさ」をテーマの一つとしているが、
そちらは平易なテキストで癖も無く読みやすかった。
他人の真似をと言うわけではないが、もっとシンプルなテキストで良かったと思う。
もちろんこのスタイルのお陰で破壊力が増したシーンもあるが、上記のように感じた部分も多かった。
欠点の方が長く書いているがそれも「勿体ない」と感じたからこそ。
とにかく強いメッセージ性を持った作品であり、多くの場面で涙を流し考えさせられる作品。
多くの人が考えなければいけないテーマだと思う。
未プレイの人には是非ともプレイを勧めたい。
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| グラフィック |
イベントCGは差分含まず合計23枚。
立ち絵・イベントCG共に等身のバランス良し&可愛い。
男女共に判子絵気味でポーズ変化が無いのは少し気になったが。
普通に上手い絵だがイベントCGを使うタイミングが秀逸すぎる。何度涙腺決壊させられたか。
背景画像の綺麗さは異常。
太陽の光や街から零れる明り、部屋の照明など光の描き方が凄い。
特に病室に差し込む月明かりはヤバイ。瑠璃の儚さが150%増し。
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| 音楽 |
BGM18曲+ボーカル1曲+ボーカルアレンジBGM2曲。
BGMはフリー素材の使用の模様だが使いどころが秀逸。
こちらも何度涙腺決壊させられたか。
ボーカルは作中エンディングに1曲。
歌唱力がアレなのは致し方ない。歌詞とシナリオのリンク具合が憎い。
音声は無し。あったら俺はきっと死んでいたw
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| システム |
Nスク。
バックログ:有
スキップ:有(既読スキップ)
セーブロード:日時表示
オートセーブ:無
クイックセーブ:無
オートモード:有
テキスト表示速度を設定できない上にオートモードの速度も設定できない。
加えて、クリック設定を「ページごと」に変更しても場面が変わると「普通」に戻ってしまう。
多めのボリュームでひたすらEnter押し続けざるを得ず、少し疲れた。
どれか一つでも改善してくれればと思う。
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| 総評 |
現代人がおざなりにしがちな「心」に触れた傑作。
これをプレイすればきっと皆少し優しくなれる。募金活動を見る目も変わるかもしれない。
しかし処女作でこれとは末恐ろしい。今後も注目したいサークル。
フリーの体験版もあるので、興味のある人は是非とも。
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